共通して「つつしむ」と発音される「慎む」と「謹む」という言葉。
どちらも同じ発音のため、どう使い分ければいいか疑問に思う方も多いかもしれません。
そこで当記事では、この2つの意味や使い分けの例文、言葉の違いについて解説します。
目次
「慎む」の意味と使い分け
「慎む」という言葉の意味
まず、「慎む」という言葉は、二つの意味を持っています。
一つ目は、「注意深く行動する」という意味。
この意味では、自己の行動を慎重にコントロールし、誤りを避ける場面で用いられることが一般的です。
「慎む」という表現は、主に自分自身の行動を注意する際に用いられますが、他人に向けて使う場合もあります。
しかし、使用できる対象は、部下や学生、生徒などに限定されます。
二つ目は、「自制する・控えめにする」という意味。
この用法では、「節度を保つ」と同じように解釈されます。
「節度」というのは、「適度に自制する」という意味を持つ言葉です。
「慎む」の使い分けの例文
「注意深く行動する」という意味の例文
- 例1:過去の失敗を教訓として慎むよう努めた。
- 例2:校内での走り回るのを慎むよう、先生に注意された。
「自制する・控えめにする」という意味の例文
- 例1:ゲームの時間を慎んで、宿題にもっと時間を使うようにした。
- 例2:経済的な理由から、私は外食を慎んだ。
「謹む」の意味と使い分け
「謹む」という言葉の意味
「謹む」とは、「へりくだって丁寧に振る舞う」という意味を持つ言葉です。
「へりくだる」とは、自身の地位などを低くし、相手に対して経緯を示す態度を取ることを意味します。
つまり、「謹む」は、相手に対する敬意を表すために用いられ、丁寧で正式な態度を示す際に使われます。
「謹む」の使い分けの例文
- 例1:私は先生に向かって謹んで頭を下げ、感謝の意を表した。
- 例2:面接官の質問に対して、彼女は謹んで答えた。
「慎む」と「謹む」の相違点
「慎む」という言葉は、自己や他者を含む他人の行動を抑える際に使用します。
この表現には自戒の意味が込められており、敬意を伴わないため、目上の人に対して使うと失礼な印象を与える可能性があります。
上司や目上の人の行動を制限したい場合は、「慎む」ではなく、他の言い回しを選ぶべきです。
一方、「謹む」は相手に敬意を示す際に用います。
この言葉は主に目上の人に向けて使用され、自分自身に対しては使われません。
つまり、「慎む」と「謹む」の違いを簡単に言うと、
- 「慎む」:自身(もしくは部下、生徒など)の行動を制御するために使われる言葉
- 「謹む」:他人(目上の人)に対する敬意を示すために使われる言葉
となります。